東京都内の防災会社のお二人(AさんとBさん(女性))にお聞きしました。
本日は、現場で実際に消防設備の点検業務を行われているプロの方にお話をお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
消防設備は、点検する項目も資格もたくさんの種類があるとうかがっていますが、いかがですか?
A たくさんの種類があります。本当に幅広いのでやはり「餅は餅屋」で、種類ごとに詳しい人がいらっしゃるわけです。そういう専門の人をたくさん集めてやっていくのが大事だと思うわけです。
何でも見れるというと、やはりうわべだけ見ているようなところがあるので、やはりそういう専門のものをたくさん集められるところが強いところだと思います。広く浅くというより専門性をもった仕事をするのが良いと思います。
点検業務をなさる中で、困ったことについてお聞かせください。
A マンションなどではプライバシーを守りたいのでしょうか、「うちは結構です」といったように、非協力的なところが多いのです。
ドアフォン等できちんと説明をしたり、前もって点検実施の案内をお配りしてから点検に伺いますが、読まれていない方も多いですし、怪しい消火器業者等もいるので疑われて断られることも多いです。中には「持論により、これから先もずっと点検は辞退します」と断言される方もいらっしゃいました。
でも、法律で点検することは定められているのではないですか?
A しなければいけないのですが、管理会社さんもそこまで強く言わないようですね。
B 新しいマンションなどですと、外から遠隔で試験ができる装置がついていまして、ある程度は点検することができるのですが、実際に有効に働くかどうかを確認(点検)するには限界もあるわけです。
あと、店舗の場合は防火管理者を店長さんがしているところが多いので、「営業に差し支えなければ・・・」程度で、例えば誘導灯のパネルが汚れていても店舗内ですと拭くこともできないことがあります。小さいスーパーなどは意識が低いことが多いようです。
消火器がどこにあるか解らないとか、ホコリをかぶっているだとか、中身が出たままの消火器でもそのまま放置しているだとか、そんなこともあります。
実際、火災を出したことがあると、また違う意識で協力的なのですが…。マンションの避難はしごなどは、実際に使うものという意識は少なく、物を置いていたりしています。避難はしごが必要な理由の説明をして協力をお願いしますが、あまり強く言うと反対に機嫌を悪くされる方もいらっしゃって、管理会社にクレームが行くことがあります。管理会社さんも入居者とのトラブルを避けたいという思いが強くおありのようです。
点検で見きれないところが実際にでてくるわけですが、何かあった場合は点検作業した業者が責任を問われるわけですから、点検作業の報告書を上げて管理会社さんとの話し合いのやり取りを書面で残しておくことも必要になります。
人が住んでいるマンションと店舗が入っているテナントビルと・・といろいろあると思いますが、どんなビルが点検しづらいですか?
A 店舗の営業が終わってから点検するテナントビルなどでは、夜間や夜中に点検を行うことがあり、そういった時はベルを「絶対やらないでくれ」といわれたこともありました。
銀行が入っているテナントビルでも3時を過ぎたらどうぞということもあるんですが、どうしてもベルは鳴らさないでほしいということはあります。
どういう防火管理者や管理業者さんが良いとおもわれますか?また、どうあってほしいですか?
A 入居者やテナントさんに強く言える立場であって欲しいです。入居者が点検を拒否した場合でも強く言える人が良いですね。
実際、「他の方が逃げ遅れたり、被害にあった場合、あなたは責任をとれますか?」というようなことを言える管理者でないと、なかなか点検に入室できませんから。点検もますます難しくなると思います。
点検している時に、隣のビルが火を出してしまって、もらい火したことがありました。実際に目の前で火事をみたら怖いですよ。
B 消防設備を重要視していない管理会社さんもあるわけです。
例えば、「感知器の増設(追加設置)が必要ですよ」とご提案しても、見積もりで例えば「○○万くらいかかります」となったら「○○万は高いので工事しません」とか、そういうのはよくあります。でも、もし「階段の照明が壊れてしまって」といった場合だと、おそらく階段の照明の方が優先されると考えられます。
A 「見た目」重視のところがあって、消火器にペンキがついていたのを挙げなかったことでクレームが来て、「業者変えろ」という話になったこともありますから。
え?本当ですか?
A はい。まあ、そこは大きいビルで、見た目を重視しているビルなんですけど。
B あくまでも消防法にのっとって点検しているものですから、ペンキが少しついている程度では不備としてあげません。実際にそのお客さんのクレームによって担当業者が代わり、うちに依頼されて出かけていきましたが、今回の件は、消防点検という意味では全く問題ないわけです。
A 感知器が必要なところについてないところがあり、不備事項として挙げると、そこは挙げないで欲しいといわれたことがあります。こちらの気にするところと管理会社さんの気にするところに少しズレがあるように思います。
今まで点検を実施してきたなかで、これはヒドいっていうところはありましたか?
B 都内のある施設でヒドいところがありました。
見た目にはちゃんと設置されているようなんですが、機能していない消防設備があって、実際に火災が起こったら大変なことになると思いました。
もともと感知器などの増設の依頼だったのですが、おおもとの受信機(制御盤)に問題があったり、作業依頼を受けていない箇所で問題がありました。
今は他の問題もあって建物自体が封鎖されてしまいましたが。
改善するための抑止力は無いのですか?
A 営業停止くらい…使用禁止くらい。今はせいぜいその程度でしょうか。
ヒドいビルがあるのはわかりましたが、そのまま放置されているのは、意識が無いのでしょうか?
A 点検自体していないので、OKかNGかどうかもわかっていないということもあります。費用もかかることなので、オーナーさんに対して管理会社もいえないという所もあるのではないでしょうか。
昔は「年に一度(消防)査察がある」と聞いていましたが、(今は)無さそうですしね。
査察も、繁華街などの大きいところにしか行っていないようなこともあると思います。
もう少し査察が入れば良いと思いますけど、消防署も人が足りないのかもしれないですね。
B どうしてもオーナーさんが点検をしないところで危ないところは、外部の方が消防署に「相談」ともうしますか、「査察のお願い」をすることもあるわけです。
テナントさんは、もし火災が起これば実際に怖い目に合うわけですから、そういう「外部の告発」のようなシステムは良いかもしれませんね。
A 火は怖いです。
実際火事になったのを見ましたが、火の回りは予想以上に早くて、消火活動しようという意欲も失わせる勢いなのです。完全に逃げるほうに気がいきます。
逃げるにしても、他の部屋の人に知らせなければいけませんね。 女性の点検士さんならではのご苦労、トラブルとかはありましたか?
B トラブルはあまり無いです。むしろ良かったということはあります。
女性のお客さんの場合は安心していただけることがあります。たまに男性で少し怪しい感じの方もいらっしゃいますが、そんな時は無線で「これから何号室に入ります」と連絡し、応答してもらい、男性の声を聞かせてから入るようにしています。
また、女性だからと言ってちょっとなめられることもあり、説明をちゃんと聞いていただけないことはありました。それと、まだ女性は蔑視される傾向があるのか、理由なくしかられたこともありました。でも全体的には、住居の中に伺う場合は、女性スタッフはけっこう安心されて喜ばれます。
ありがとうございました。
(インタビュアー:松谷葉子)
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