地域の方の協力がないと成り立たないのがグループホームだと思っています。

点検実施ビル建物インタビュー

 

 

埼玉県川越市のグループホーム「福音の園・川越」のホーム長 杉澤卓巳さんにお聞きしました。

建 物
利用者18名、部屋数・2ユニット(9名個室×2)、スタッフ数21名

 

「防災もケアのひとつ。防災の“質”が問われる」ということを標榜しておられますが、工夫なさっているところはどこでしょう?

 まず、健康と安全のために「禁煙」としていることを謳(うた)っています。
 ホームの入居者の入居理由のひとつに、台所のガス栓や、火の不始末が心配になって、もうこれ以上一人暮らしは無理だと判断されたご家族の方によって、入居の決断がされたという利用者様もいらっしゃいました。
 ここは、認知症対応のグループホームです。認知症の利用者様に、たばこやライターを自由に持たせるということは、花火や火薬を持たせることと一緒で、論外である、といわざるを得ない、思っています。

 そういう意味で、昨年の火災事故以来、「老人福祉施設の防災は二の次」という新聞記事などが多くなり、心を痛めていた矢先、「福音の園」はそうじゃない、と。最初から、防災もケアのひとつだということを掲げていたので、その火災の翌月の「福音の園だより」に改めて防災に対する考え方、現在の取り組み状況などを提示しました。

 全館禁煙。働く人にも、理解をしてもらってから仕事をしてもらっています。

 

実際に、消防訓練とか、もしものときにどうするか、というシミュレーションをなさってると思うんですが。

 消防計画書を作って提出したときに、年6回自衛消防訓練を行う、と謳ってますので、二ヶ月に一回行っています。
 基本は職員だけでするんですが、そのうち2回は実際に利用者様に入っていただくのを目標にしています。
 そういう意味では、ベルを鳴らすだけで恐怖心をもたれる方がいらっしゃるので、規定どおりのことはできないとしても、動いていただくようにしてもらってます。
 利用者様は18人という数なので、誰がどのような傾向なのかは大体わかります。職員が個別に対応して、やってます。

 

訓練のときでも、警報音を鳴らすんですか?

 はい。そうしています。消防署もそれを奨励していますし。職員どうしで声をかけながらやってます。

 

「消火の訓練」もなさるんですか?

 玄関前の駐車場で消防設備業者に立ち会っていただいて、水消火器を借りて、ホウキで掃くようにしながら消す、という基本的なことは行ってます。
 
 そういう意味では、17年間老人福祉に携わってきた中で、東村山市の17名の焼死事故、あれも隠れてタバコを吸った火災事故の事例なんですが、を目の当たりにしながら、消防署の予防課の方から逐一教えていただきながら、消防の訓練を積み重ねてきました。

 職員の研修のときに、私が消防署に言って、何月何日に来てください、といって来ていただくわけです。休んでいる職員のためにカセットテープをとって聞いてますと、 カセットテープ止めてくれますか、といって、(言葉は悪いですが)お年寄りを人と思わずに、モノと思って、ベランダから外に放り出しなさい。と。


命を落とすより、怪我ですむほうが、まだ、ご家族に謝れるじゃないか、と。(語弊はありますが)適切な指導だと思ってます。そういう意味で、いい消防署の職員さんにめぐり合えたと思っています。

 「防災もケアのひとつ」というフレーズは、そういう防災意識の積み重ねですね。「防災は二の次」という、見出しに対して、知らない人が何を言ってるんだ、と、ああいう形で、翌月紙面に掲載できたわけです。
 
そういう意味で、いい意思表示になっているんじゃないかと思っています。

 

利用者様の体調等によって、誘導の仕方、助け方も変わってくると思うんですが、どういった対策をなさってますか?

 オープンして2年経ちましたので、いままで元気だった人が車椅子になった、という人もいらっしゃいます。とにかくまずベランダに避難していただく、「外気に触れていただく」という意味で出ていただく、そして消防隊が到着したらベランダから救出していただく、といった訓練をしています。
 
 それと、防火区画の中に利用者様に入っていただく。消防隊が来るまで避難していただく。あとは消防隊に対処していただく。と。そんな流れもあります。

 

施設近隣は、かなり道が狭いですね。

 先日、査察があって、制服を着た消防の方と、ハシゴ車が来まして、実際に道が通れるか確認しながら、どこにハシゴ車をつけて、どうはしごを伸ばせるのかを確認してらっしゃいました。

 

地域コミュニティとの関わりについて、努力なさっていることはおありですか?

 私共は、自治会費を納めて、会員になっています。回覧もまわしてもらっています。先日の地域全体の総合防災訓練にも私が参加して、朝7時半に自治会集会所に集まって、そこから徒歩で近くの小学校のグラウンドまで避難して、そこでみんなで半日かけて防災訓練をすると。

 こちらが積極的に地域に関わっていかないと、地域も動いていただけませんから。そこの自治会の自主防災計画の中に入れていただいて、そしてその団地の中にいらっしゃる民生委員の方と蜜にコンタクトが取れてますので、いざというときに関わっていただけるようになっています。

 これは、住宅地の中のホームの使命かなと思っています。自治会の行事にも積極的に参加し、こちらの行事にも4つの自治会長さんにバザーの参加もしていただく、と。地域密着型のホームのあり方を模索しているところなんです。

 地域の方の協力がないと成り立たないのがグループホームだと思っています。

 ここに入居している方の関係者の方で、他の市のグループホームに勤めてらっしゃる方がいて、そこはどういうわけか玄関は自由に出入りできる、施錠していないホームだったらしいのですが、畑に出て行って大根を抜いたりとか、勝手に栗林に入って栗を拾ったりとかであんまりいい評判が立ってない、という話をお聞きしたことがあります。地域といい関わりを持つような工夫を模索しないと、と思っています。
それと、地域から来ていただいて働いていただけるような「採用の仕方」をあえてしています。

 それが地域密着型のあり方だと思ってます。

 それが一番、クチコミで、ホームは安心できるよ、楽しいよ、と広めていただけると思ってます。私自身はこの市の隣の市に自宅があり、何かあったときにすぐに駆けつけなければならないが、車で25分かかります。そういう意味で、この地域の方に働いていただいて、その地域の方々が成長して、中心になってホームを盛り上げていただきたいなと思っています。

 

(インタビュアー:松谷葉子)

 

【インタビュー先情報】

名称「グループホーム 福音の園・川越」
住所 〒350-0016 埼玉県川越市木野目1878-1
ホームページ: http://www.geocities.jp/gospelgarden/
ご協力ありがとうございました

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